カットチャレンジ

カットチャレンジ⑤(くしでといてもらえたYO2020.9)

この日もNさんの美容院にお邪魔してきました。

着くとぷうちゃんニコニコになって車からもスっと降りれました。

Nさんがお店から出てきてくれ、お孫さんも出てきてくれました。

ぷうちゃんが公園を指さしているのを見てNさんが

「バッタ捕りに行く?」

と声をかけてくれました。

「んっ!!」

と返事し、網を持ち捕る気マンマンです。

Nさんにも大分慣れ、手を繋いで歩いています。


大きいバッタがいましたが、逃げ足が速く全くかすりもしませんでした。

公園1周して、美容院へ戻りました。


Nさんが先に美容院へ入りました。

「ぷうくん、こっちに入っておいで〜。」

お孫さんも入りました。

ぷうちゃん、入ろうか、入るまいか入口で足を止めて考えています。

「お母さんも入ろうかな。」

私が入ると後を追うように入ってきました。

気がつくと、Nさんはくしを握っていました。

そして、ぷうちゃんの近くに行き、髪を触りながら1くし、2くし。

「ぷうくん、ここは髪を切るところじゃけんな。」

とぷうちゃんに話しながら、、、。

ぷうちゃんが美容院の中の大きな鏡の前へ行きました。

「大きな鏡じゃなあ。」

少し不安そうにウロウロしています。

「椅子に座ってみる?」

声をかけましたが、イヤイヤと手を振り拒否しています。

Nさんが椅子の下にある足踏みボタンをシュポシュポと足で踏みました。


クックックックッと椅子が上に上がってきました。

お孫さんがすかさず来て、下がるボタンを踏みました。

プシュ〜〜っ。

椅子が下へ音と一緒に下がっていきました。


ぷうちゃんはケタケタと大笑いしています。


お孫さんとぷうちゃんの椅子遊びが始まりました。

椅子を上げては下げ、上げては下げ、、、。

ははははは。


遊んでいるのを見守りつつ、Nさんはまた、くしでぷうちゃんの髪を2、3回といてくれました。

ぷうちゃん、くしを手ではらう事もなくお孫さんと遊んでいます。

椅子に飽きたのかウロウロし始めたぷうちゃん、雑誌や本を見つけました。

今度は雑誌や本を次から次へと出していきました。

その中の絵本には女の子の名前が書いてありました。

Nさんの娘さんかな??

私は前から気になっていたNさんとワイミー先輩の出会いについてNさんに尋ねてみました。

「あの子が亡くなってからもあの子からもらった縁ばかりで、、、。」

Nさんが、ゆっくり、言葉を選びながら話してくれました。

Nさんには障害を持つ娘さんがいたそうです。

ぷうちゃんの通っていた発達支援センターに通い、ぷうちゃんの通っている支援学校に通っていたそうです。

その子は17年前に亡くなられたそうです。

その後、奥様は当時の発達支援センターの園長さんが障害児と親の居場所を作り支援されており、そのお手伝いをされていたそうです。

ワイミー先輩はその頃、障害者雇用の為、自分でぶどうを作りたい!!と奮起し、色々な方にぶどうが作りたいと話してたそうです。

そして、発達支援センターの元園長さんがワイミー先輩をぶどう農園をされているNさんの奥様に紹介してくれたそうです。

繋がって、繋がって、繋がっているのですね。

ぷうちゃんが雑誌をドンドン机の上に重ねていくのでバランスが崩れ本や雑誌が床にバサバサっと音をたてて落ちてしまいました。

Nさんが

「あ〜あ、ぷうくん、本が落ちてしもうたで。」

とぷうちゃんに言いました。

ぷうちゃん、悪い事をしたと思ったのか、半泣き顔になりスタスタと戸を開け外に逃げ出しました。

私の車のドアを開けろとガチャガチャしています。

車のボンネットをガンガン叩いています。

私とNさんはぷうちゃんをしばらく見守りました。

「ぷうくん、よくわかってるね。僕との信頼関係ができて、本人が髪を切っても大丈夫なんだって事がわかったらきっと切れるようになるから。」

「別に椅子に座って切れなくても、ブランコに乗ってでもいいし、室外機の前でもどこでも大丈夫。髪を人に切ってもらうのが目標だから。」

「今まで、色んな障害の子を切ってきたけど、1人だけ来なくなってしまって、、、。それは、お母さんが遠慮してしまったから。こちらは全く遠慮なんていらないのに、そのお母さんは申し訳ないと思ってしまったんだと思う。大切なのは、お母さんがくじけない事。だから、遠慮せず何度でも足を運んで下さい。」

とNさんが言ってくれました。

涙が出そうでした。

そして、私の心も愛に包まれたような温かい気持ちでいっぱいになりました。

ぷうちゃんが外で暴れている所に奥様がきてくれました。

笑顔が素敵なニコニコ奥様にぷうちゃんはすぐに慣れ遊んでいます。

この日はお孫さんの誕生日でこれから誕生日ケーキを買いに行くよ。と話しています。

お孫さんが奥様の車の助手席に乗り込みました。

ぷうちゃんが手を上げています。

僕も行くとアピールしています。

「いやいや、ぷうくん、もう帰るよ。バイバイするよ。」

と伝えますが全く聞く耳もちません。

しれ〜っと奥様の車の後部座席のドアを開け、私の顔色を伺いながら、ゆっくりお尻から入り、ゆっくりドアを閉めてちょこんと座ってしまいました。

オイオイオイオイオイオイっ!!

「よかったら一緒に行きますか?」

と奥様。

結局、一緒にケーキを買いに行かせてもらい、ぷうちゃんも好きなショートケーキを買いニコニコで帰りました。

今日も沢山の方々に感謝です。

ありがとうございます。

私もいつか、ぷうちゃんのキテレツな日々が落ち着き、誰かのお役に立てる日を夢みて。

こちらへ続く、、、。↓↓↓

カットチャレンジ⑥(椅子に座れた?!2020.9)

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カットチャレンジ⓪(カッパ頭のザンバラ髪、2020.7)

↓↓↓こちらには登場人物を紹介しています。

登場人物紹介